ミスター・バーク社長の屋根裏部屋
2023/07/07
 

7月4日、新しい業態の「京都うどん処甘きつね製麺所」がオープンしました。
隣の浦安店のオープンから遅れる事約1か月、やっとそこそこのレベルに達したので開店することができました。

不安だらけの中、新たなる挑戦ははたして上手くいくのか・・・。
思い起こせば1982年の事、私は手描き友禅の職人として4年目で独立、自分のアパートにてひとりで開業しましたが、すぐさま着物不況に遭遇し、仕事が激減、そこで桂にあった小さなうどん屋に夜だけアルバイトに行くことになりました。
深夜まで営業していたこともあり、祇園帰りのお姉さまや頬に傷のあるお兄様達に相当揉まれながら生きていくための初バイト経験をしました。
そして数年後、御薗橋に店長として移り、店舗改装をしながら飲食業に吸い込まれていった経験が今日に生かされていると思います。

岡山岡南店の土地契約終了に伴い、2年半前からの計画だった農業専用地域での出店には高い高い壁が待ち受けており、ある意味最悪の難産の出店となりました。
現在、軌道に乗っている「ミスターバーク」はパッケージ店舗として今後のFC展開のモデル店としてもサイズや規格を変えたくはありません。
許可申請を通すために昔の経験からうどん屋を併設することにしましたが、それは30年前の話であり、果たしてどう組み立てようかと右往左往しながらのある日、まるで手打ちのような製麺機との衝撃の出会いがあり、目からうろこが剥がれ落ちました。
「こんなに美味しいうどんは初めてだ!」試食した麺がかつて無い美味しさだったので、「この美味しさをお客様にも味わって欲しい」という元来の飲食経営者のワクワク感も同時に芽生えてしまう程でした。
そして、元うどん店の店長と一緒に「安くて美味しい!」ミスターバークのコンセプトと同じようなコスパに近づけるための試行錯誤の日々が始まりました。

通常うどん屋は人件費をかけないセルフ方式にする事が多いのですが、しかしセルフではこの美味しさは出せません。
店長には、「こんなに手間かけて安く売ったら合わないですよ。元どころか大赤字ですよ。」と、そこで閃いたのが『お持ち帰り』方式、さらに店内を狭くして試食コーナーを設置し、これならば安くて当たり前、これで行ける!
しかし、本当に赤字にならないのだろうか?
お客さんに喜んでいただければ、沢山売れて赤字にはならないはず、取らぬ狸の皮算用とは承知の上。 細かい計算など後回しで売れやすいと思うハイコストパフォーマンスな最低価格を設定。
我ながら無茶をしている、実は店長の言う通りではないかとは思いつつも「何とかなる・・・」と、勝手に思い込むことにしました。

製麺機は京都時代に使っていましたが、今回の機械は製麺機とは名ばかりで「手打ちうどんお助け機」と言っていいほど扱いが非情に難しく、来る日も来る日もうどんの製造が続くことになります。
製麺がやっと70点近くまでになったので、今度は出汁引きに取りかかります。
ところが久々だったとはいえ、これにも苦戦することとなり、なかなか上手く行きません・・・。
美味いのですがバランスが悪いのです。
更に調整を何度も繰り返してやっと70点位に辿り着きました。
そろそろ開店しないと家賃が払えないかも、と開店日を決めて甘あげ炊きにとりかかりますが、これも思うような美味しさを醸し出すことが出来ず、改良に改良を繰り返すことになります。
開店日になんとか間に合いましたが、全てが70点。
私は70点主義で店舗の経営とFCチェーンづくりをやってきましたが、全国で一番うどん店が難しい岡山県においてこれで商売ができるのだろうかと、恐る恐るこっそり内緒で開店しました。
知り合いには2週間経ってから来て欲しいと開店告知をいたしましたが、それを守ってくださった方はゼロ、それでもありがたいことに褒めてくださる方もおられ、さらなる日々の改良に勤しみながらメニューづくりは未だ継続中です。

オープン4日めでお昼のピーク時は満席が続く、宣伝など全くしていないがお客様の関心の高さには驚かされています。
頭の中ですべてを組み立てて現実化する楽しさはやはり飲食業の醍醐味でもあります。
これからお客様の期待に更に応えて95点まで駆け登る予定です。
「社長の事だからいずれかチェーン店化する予定なんでしょ」と聞かれて「滅相もないです、趣味でやっています」と答えていますが、既に次のことを考えている自分が垣間見えています・・・。